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内視鏡検査は、食道や胃、大腸などの疾患や病変の早期発見・早期治療のために行われる検査です。
内視鏡検査をすることが決まれば、病院から検査前後の食事内容について指示があります。
しかし、なぜ内視鏡検査前後には食事に注意する必要があるのか、具体的にどのような食事内容がよいのか分からない方もいるでしょう。
この記事では、内視鏡検査前の食事に関する注意点や内容、食事以外に注意すべきものに関して解説します。 内視鏡検査を受ける予定のある方、内視鏡検査前の食事について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
内視鏡の検査前の食事について
内視鏡の検査前には食事制限を指示されることが多いですが、『なぜ食事制限が必要なのか』まで理解している方は少ないかもしれません。
ここでは、検査前の食事に気をつける理由について解説します。
検査前の食事に気をつけるのは何故?
内視鏡検査前の食事に気を付ける理由は、内視鏡検査の際に腸管内を綺麗にすることでしっかりと観察をし、検査や診断のクオリティーを担保するためです。
食事内容や年齢など個人差はありますが、食事をすると便として排出するまでに約24〜72時間(1〜3日)程度かかります。
胃の場合は食事後から胃内が綺麗になるまで、個人差はありますがおおよそ6時間程度かかります。
内臓に消化途中の食事が残っていると、食事がある部分の内臓壁などが隠れてしまい、超初期の異変を見落としてしまう可能性があります。
そういった事態を避け、できるだけ異変を見つけるために検査前から食事内容には注意して、検査当日は内臓を綺麗な状態にしておきましょう。
大腸内視鏡検査専用食を用意している医療機関も
医療機関によっては、大腸内視鏡検査時に内臓内部の状態を整えるために内視鏡検査専用食を用意している場合があります。
3食セット(朝・昼・夜)で用意されていることもあり、食事をする時間を気にするだけで内容に悩む必要はありません。
食事内容は医療機関によって異なりますが、消化に良い白米やおかゆなどのごはん類、薬味の無いうどんやそうめんなどの麺類などさまざまな種類があります。
別途費用(1500円~4500円程度)が必要になる可能性は高いですが、大腸内視鏡検査を受ける際には、内視鏡検査専用食の取り扱いはあるのか聞いてみましょう。
胃内視鏡の検査前の食事で注意するポイント
胃内視鏡検査の場合は食事の内容よりも絶食時間の方が重要です。
通常は食後6時間程度で食べ物は胃から排出されます。
そのため6時間以上の絶食があれば胃内の観察が可能になります。
しかし胃の食べ物の排出能には個人差があるので、半日程度の絶食時間があると良いでしょう。
そのため午前中の検査の場合は、全日21時以降の食事を止めることを勧めています。
午後の検査の場合は、昼食は最低限止めていただき、朝食も少量で消化の良いもののみとし、6時間以上の絶食時間を設けることが推奨されます。
糖尿病のある方、便秘傾向の方、痩せ気味の方、胃や腹部手術後の方など、胃の排出能が低下している方もいるため、個人差があります。
午後の検査でも念を入れて朝食を抜いておくと正確な検査がしやすくなります。
消化器内視鏡(胃カメラ)の検査前の食事
ここでは内視鏡検査の中でも消化器内視鏡の胃カメラ検査を行う前の食事内容についてくわしく解説します。
詳細な食事内容の注意としては、医師の指示に従うようにしましょう。
検査前日まで
消化器内視鏡(胃カメラ)をする場合、検査前日までの食事制限は特に必要ありません。
ただ、消化しにくい脂質の多い食事や、胃が荒れるような刺激物は検査前3日程度は控えた方がよいでしょう。
検査前日
検査前日の食事内容にも特に制限はありません。
胃の動きが悪い方、以前の消化器内視鏡で胃に内容物が残っているといわれた方は食物繊維の豊富な野菜や果物、海藻などは控えるのがおすすめです。 午前の検査の方は21時までに食事は済ませて、飲酒や刺激物はできるだけ避けましょう。
21時以降は水かお茶などの透明な飲み物は口にしても大丈夫です。
検査当日
胃内視鏡検査を午前中に行う場合は、前日の21時から絶食が必要で、当日の朝は朝食を抜きます。
飲み物を摂取したい場合は、お茶や水のみにしましょう。
病院によっては午後からの検査が可能な場合もあり、その場合は6時間以上の絶食が必要です。
検査6時間前であれば朝食を取ることも可能ですが、消化の良い食材を選び、食事量は少なめを意識しましょう。
午後の検査の場合は、昼食は最低限止めていただき、朝食も少量で消化の良いもののみとし、6時間以上の絶食時間を設けることが推奨されます。
糖尿病のある方、便秘傾向の方、痩せ気味の方、胃や腹部手術後の方など、胃の排出能が低下している方もいるため、個人差があります。
午後の検査でも念を入れて朝食を抜いておくと正確な検査がしやすくなります。
検査後
消化器内視鏡検査後は喉に麻酔がかかっており、急に飲み物を飲むとむせる原因になるため注意が必要です。
使用した麻酔の種類や量にもよりますが、検査終了後30分程度で麻酔が切れ始めるため少しずつ飲み物を飲み始めましょう。
検査終了後1時間程度で麻酔が切れるため、小さく柔らかいものから少しずつ飲み込み、喉に違和感がなければ通常の食事が可能です。
麻酔が切れると検査後の食事制限はとくにありません。
ただ、細胞の採取やポリープの除去などを行った場合は、過度な飲酒や刺激の多い食事は避けましょう。
大腸内視鏡の検査前の食事で注意するポイント
胃内視鏡検査にくらべて大腸内視鏡検査は食事内容の注意が必要なことが有ります。
大腸内視鏡検査前の食事で注意するポイントは大きく4つあります。
- 胃内滞留時間が短く消化が良いとされるものを選ぶ
- 食物繊維が豊富なものは避ける
- 消化に時間がかかるものは避ける
- 食べ過ぎない
人の身体は、水分が多く柔らかい食べ物を消化しやすい傾向にあります。
普段の食事では、食物繊維を多く含んだ食材は便通を良くする効果もあるため、積極的に食べた方がよいとされています。
しかし、大腸内視鏡検査前に関しては小量であっても避けた方が良い食材です。
特にそばは消化に良いイメージがあるかもしれませんが、食物繊維を多く含んでいるため避けるようにしましょう。
消化に良い食材を選んだとしても食べ過ぎると消化に時間がかかります。
極端に食事量を減らす必要はありませんが、いつもと同量か少し減らす程度の食事量を意識しましょう。
大腸内視鏡(大腸カメラ)の検査前の食事
ここでは内視鏡検査の中でも大腸のカメラの検査を行う前の食事内容についてくわしく解説します。
検査前日までから検査後について解説しますが、チェックする部分や同時にほかの検査を行う場合は注意する部分が異なることもあります。
詳細な食事内容の注意としては、医師の指示に従うようにしましょう。
検査前日まで
食事が排出されるまでには、約24〜72時間(1〜3日)程度の時間が必要であるため、検査3日前くらいから消化のよい食事を意識しましょう。
大腸内視鏡検査を受けるためには、検査時には大腸の中を空っぽにする必要があります。
そのため、検査前の前処置として下剤を内服しますが、排便できなければ検査時間が遅れてしまったり検査できなかったりします。
ごまなどの種子類や、皮が残りやすいトマト、きのこ類は大腸内に残りやすく、検査3日前からは避けるようにしましょう。
便秘がひどい場合は事前に内服薬などを使用することもあります。
また、過度の飲酒や脂質の多い食事に関しても検査3日前からは控えましょう。
検査前日
検査前日の21時までに夕食は済ませ、21時以降口にするのは水やお茶といった透明な飲み物のみにしましょう。
夕飯は消化によいうどんやおかゆをメインに、脂肪分や食物繊維を含む食材は避けます。
食べていいもの、避けるべきものが分からない場合は、内視鏡検査専用食の利用も検討しましょう。
また、常用している薬がある場合は基本的に服用しても問題ありません。
しかし、抗血栓薬や抗血小板薬など一部中止が必要な場合があります。
常用している薬がある場合は、事前に処方をうけているかかりつけ医師に相談し、服用の有無を確認しておきましょう。
中止の可否が不明の場合は内服は継続いただく事をお勧めします。
検査当日
検査当日の朝食は基本的に食べず、水やお茶など透明な液体であれば摂取しても問題ありません。
飲み物の中でも、牛乳やジュース、コーヒーなどは検査に影響を与える可能性があるため、口にするのは避けましょう。
場合によっては、自宅で前処置である下剤の服用が必要になる場合もあります。
検査後
大腸内視鏡にて、組織の採取やポリープの切除などを行った場合は検査後でも消化の良い食事を意識し、アルコールや刺激物・脂肪分の多い食事・食物繊維の多い食事は避けましょう。
組織の採取などを行わなかった場合、特に食事制限はありません。
しかし胃腸が空っぽの状態なので、急な飲酒や消化に悪いもの、暴飲暴食は消化器官に負担をかける可能性があります。
初めは消化の良いものから少しずつ食べるのがおすすめです。
内視鏡検査前日に食事以外で注意すべきもの
内視鏡検査前日に注意が必要なのは、食事以外にもあります。 ここではお酒とたばこ、治療中の薬について解説します。
お酒とたばこ
内視鏡検査前日はお酒とたばこはできるだけ避けてください。
どうしても飲みたい場合、お酒に関しては少量であれば飲んでも問題ありません。
目安としてはビール350ml、ハイボールやワインなどグラス2杯程度です。
ただ、お酒を飲む場合は食事同様に21時までに済ませておきましょう。
たばこは血管を収縮させる作用があり、胃や腸の血流が悪く、胃粘液分泌が増える傾向にあります。
そうなると検査が行いにくくなり、異変を見逃してしまう可能性があります。 たばこに関しては出来るだけ控えるようにしましょう。
治療中の薬
治療中の薬は基本的に通常通りの服用が可能ですが、一部服用の中止が必要な薬もあるため、必ず医師に確認しましょう。
中止の可能性がある薬としては血液をサラサラにする抗血栓薬・抗血小板薬・抗凝固薬などがあります。
病状や薬の成分などを加味して中止の有無を決定するため、自己判断はやめましょう。
また、インスリンなど糖尿病に関する薬は検査前日と当日で中止する場合が多いです。
食事制限や絶食をしている際に使用すると、低血糖になってしまう可能性があります。
ただ、こちらも薬の種類によって対応が変わるため自己判断は危険です。
内視鏡検査前日の食事についてのよくある質問
最後に、内視鏡検査前日の食事について、よくある質問を3つ解説します。
より詳しい内容に関しては、検査時間や項目によって多少異なるため、医師の指示に従うようにしましょう。
検査前日の食事は何時までに済ませればいい?
内視鏡検査前日の食事に関しては20〜21時頃までに済ませるように指示される場合が多いです。
夜遅くに食事をする場合は、できるだけ消化がよい柔らかいものを小量食べるようにすると、翌日の検査までには消化は終わっていることが多いです。 検査前日の食事時間に関しては、検査内容や検査時間によって異なりますので医療機関に確認しておきましょう。
検査当日は水分を摂っても大丈夫?
内視鏡検査当日は水分を摂っても問題ない場合が多いです。
ただ、飲酒は検査前日から避け、飲むものには注意が必要です。
飲んでも問題ないものはお茶や水といった透明の飲み物で、避けた方が良いものは牛乳や野菜ジュース、果肉入りジュースなどです。 特に夏場に検査を行う場合は脱水や熱中症などの危険もあるため、水分は積極的に摂取しましょう。
大腸内視鏡検査前日に食べてはいけないものを食べてしまったら?
食べてしまったと気づいた時点で食べるのをやめ、できるだけたくさんの水分を摂取しましょう。
たくさんの水分を摂取することで消化機能向上の期待ができます。
小量食べてしまっただけであれば、検査に支障が出ることは少ないです。
ただ、大量に食べてしまった場合は、検査に支障が出てしまうため、検査を後日に変更する可能性があります。
少量でも食べてはいけないものを食べてしまった場合は、何をどの程度食べたのか事前に医師に伝えておきましょう。
まとめ
内臓に消化途中の食事が残っていると、食事がある部分の内臓壁などが隠れてしまい、超初期の異変を見落としてしまう可能性があります。
内視鏡検査前の食事で注意するポイントは消化が良く食物繊維や脂肪分が多いものは避けましょう。
当院では、埼玉最大規模の内視鏡設備を整えています。
大腸内視鏡検査前処置室専用トイレ個室や男女別ロッカー室も完備しており、安心して検査を受けられる環境が整っています。
また、女性内視鏡専門医による内視鏡検査を行っているため、女性の方でも安心して受診していただけるでしょう。
全ての内視鏡検査は、日本内視鏡学会専門医・日本消化器病学会専門医である医師によって責任をもって検査を行っています。
そして、できるだけ苦しくない辛くない内視鏡検査を目指しています。
内視鏡検査を受けたいと思っている方は、ぜひ一度までご相談ください。