健康診断でビリルビンという数値が高いといわれ、精密検査を指示されたことはありませんか? 臨床では体質性黄疸という症例によく出会います。
体質性黄疸とは、先天的な遺伝的な異常によって、血液中のビリルビン濃度が上昇する病気です。 ビリルビンは、赤血球が壊れたときに生成される黄色い色素です。 通常、ビリルビンは肝臓で処理されて体外に排泄されますが、体質性黄疸では、肝臓がビリルビンを処理する能力何らかの理由で低下しているため、血液中にビリルビンが蓄積されます。 そうすると血中ビリルビンという数字が正常の方より高くなります。
体質性黄疸の原因は、主に以下の4疾患です。
最も頻度の高い体質性黄疸で、全人口の3-7%存在すると言われ、常染色体優性遺伝による家族性発生が多いといわれています。 Gilbert症候群(ジルベール症候群)では、肝臓のグルクロン酸抱合酵素という酵素活性が低下しているため、ビリルビンが処理されにくくなります。 肝臓がビリルビンを処理する能力が部分的に欠如しているため、ビリルビンが血液中に蓄積し、皮膚や目の白い部分が黄色くなる黄疸を引き起こすことがあります。
Gilbert症候群(ジルベール症候群)自体は無害で、特別な治療は通常必要ありません。 症状は通常、ストレスや疲労、空腹、風邪やインフルエンザなどの感染症などによって一時的に悪化することがあります。
遺伝子の状況によって黄疸の程度が異なり、健診の度に引っ掛かる方・その時の状況によって引っ掛かる方などの差があります。
日常臨床で最もよく遭遇する体質性黄疸です。 総ビリルビンの値は5mg/dl以下であることがほとんどです。
重症なタイプの体質性黄疸で、肝臓のグルクロン酸抱合酵素という酵素活性が極めて低下もしくは欠如しているため、ビリルビンがほとんど処理されず、Gilbert症候群(ジルベール症候群)より重篤な黄疸を起こします。
これは非常に稀な遺伝性疾患(100万~1000万人に1人)で、一般的には新生児期に発症し、未処理の場合、脳障害や死につながる可能性があります。診断の確定には、肝組織の酵素レベルを調べる肝生検や、ビリルビンUDPグルクロン酸転移酵素1の遺伝子異常を調べる遺伝子検査が必要となります。
通常の成人の臨床現場で初めて診断されることはありません。 小児期に診断がされており、総ビリルビンの値は5mg/dl以上であることがほとんどです。
珍しい遺伝性の病気で、沖縄県で多く発生しています。 遺伝的な異常により、軽度の黄疸をしめします。
体質性黄疸の症状は、ほとんどの場合、無症状で採血の異常のみで来院される方がほとんどです。ただし、一部の患者では、以下の症状が現れることがあります。
体質性黄疸の場合、肝臓の機能に異常を示すことが成人における日常臨床ではないため、肝機能障害がないことが重要になります。 肝機能障害をチェックするために、採血検査は重要です。 また黄疸を示すそのほかの疾患を除外することも重要で、腹部エコー検査を実施します。
その上で体質性黄疸以外の疾患を除外することで診断をします。 日常臨床において遺伝子検査まですることはありません。
Crigler-Najjar症候群(クリグラー・ナジャー症候群)を除き、体質性黄疸の治療は、基本的には必要ありません。新生児期に発症する為に小児科で対応をされます。
体質性黄疸の予後は、一般的に良好です。 しかし、Crigler-Najjar症候群(クリグラー・ナジャー症候群)では、症例によって予後は不良である。
健診でビリルビンが毎年高いと言われた方、体質性黄疸の可能性が高いです。 成人の日常臨床のおいては、体質性黄疸はほぼ無害です。 もし異常が指摘された場合でも落ち着いて肝臓専門医に受診をして下さい。
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著者
さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック 和光市駅前院
理事長 吉良文孝
日本内科学会認定 認定内科医 日本消化器病学会認定 消化器病専門医 日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医 日本肝臓学会認定 肝臓専門医 日本消化管学会認定 胃腸科指導医 日本糖尿病学会
当院は和光市・朝霞市・志木市を中心に埼玉全域の方に、生活習慣病(高脂血症、糖尿病、高血圧)、消化器内科診察(胃腸科)、肝臓内科診察(脂肪肝)、内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)を提供します。
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