内視鏡検査前の常用薬の中止に関して

 

内視鏡検査と内服薬の基本的な考え方:

胃カメラや大腸カメラなど内視鏡検査前の常用内服薬の取り扱いには注意が必要です。
中止することが望ましい薬と逆に中止しない方が望ましい薬があります。
内視鏡検査前に確実に内服の情報をいただきたいので、内視鏡説明を受ける際に必ず内服薬がわかるような資料(お薬手帳など)をご用意ください。
またご自身の判断で内服を中止することはくれぐれもおやめください。
安全安心の内視鏡検査にご協力ください。

 

血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)

血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)は、処方をしている主治医の許可がある場合に限り、中止が可能です。中止することがリスクをもたらす場合もあるため、自己判断での中止はしないようにしてください。
以前は止めても問題なかった、飲み忘れても問題なかった・・・などの理由で自己判断で中止をされる方がいますが、決して中止をせずに、事前に主治医に確認をお願いします。

血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を内服していること自体は検査ができない理由にならず、内服した状態で胃カメラ・大腸カメラなど内視鏡検査の実施自体は可能ですのでご安心ください。

飲んでいることで実施が不可能なものは、出血の可能性のある処置になります。
当院で実施している処置の中では内視鏡下生検法(細胞をとる検査)、大腸ポリープ切除、内視鏡下異物除去術になります。
特にポリープ切除を行う場合は注意が必要です。

外来で処方される血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)の例

①抗血小板薬

アスピリン、チクロピジン(チエノピリジン誘導体)、クロピドグレル(チエノピリジン誘導体)、シロスタゾール、イコサペンタエン酸、塩酸サルボグレラート、ベラプロストナトリウム(プロスタグランジン I2 誘導体製剤)、リマプロストアルファデスク(プロスタグランジン E1 誘導体製剤)、トラピジル、ジラセプ塩酸塩水和物、ジピリダモールなど。胃薬との合剤などもあります。

②抗凝固薬

ワルファリンカリウム、ダビガトラン、リバーロキサバン、アビキサバン、エドキサバンなど

胃カメラを受ける場合

外来での胃カメラ検査の場合は、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)の中止をしないといけないケースはあまりありません。

胃カメラを実施した際に、細胞をとり検査に回すことが有ります(内視鏡下生検法)。複数の血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を内服している場合・抗凝固薬の効果が強い場合などは生検ができないことが有りますが、1種類だけの場合は生検が可能な場合が多いです。

胃の中を観察するだけでも内視鏡専門医の場合はかなりの情報を得ることができるので、自己判断での内服中止はしないようにしてください。

生検が必要かどうかは胃カメラを受けてみないとわからないため、事前に内服薬を中止して中止リスクのみを抱える事はお勧めしておらず、検査時に処置の必要性とリスクを考慮して、処置の可否を判断しています。

内服状況を事前にお知らせいただき、必要があればこちらから主治医の先生に中止の可否を確認するようにお願いさせていただきます。

取る必要のある胃ポリープがあればその場で取って欲しいので、薬をやめたいと仰る患者さんもいらっしゃいますが、胃のポリープは切除が必要なものは少なく、また切除するとしても出血頻度の高い胃ポリープ切除は外来では行わいため、その点においても事前の血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)の中止は必要ありません。

外来での胃カメラ検査において事前に内服の中止をお願いしないといけない状況は限定的と言えます。

大腸カメラを受ける場合

大腸カメラにおいても、生検を行うことが有ります。その際は胃カメラと同じような考え方で、1種類だけの内服の場合は実施できることが多いですが、複数の血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を内服している場合・抗凝固薬の効果が強い場合などは生検ができないことが有ります。

また大腸ポリープは胃のポリープと違い、切除することが多い病気です。
事前に切除すべき大腸ポリープがあることが分かっていて、安全に薬を中止できる場合は、内服中止をして処置を実施します。処置後の内服の再開をしますが、検査直後からの再開にしない事が多いため、中止期間に余裕を持って中止が可能なケースに限ります。
大腸ポリープがあるかどうか不明な場合は内服したままで検査を行い、大腸の評価を行います。
事前に切除すべき大腸ポリープがあることが分かっているが、安全に内服の中止ができない場合は、然るべき施設に紹介をさせていただくことが多いです。

まとめ

胃カメラ・大腸カメラ共に外来で実施をしている範囲では、急いで血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を中止しないといけないケースは多くありません。

後日に時間を取り直して検査をすることで問題ないケースがほとんどですので、自己判断で内服を中止して、中止に伴うリスクを増やしてしまう事は止めましょう。

中止が必要な際は必ず処方をしている医師に中止の可否の確認をお願いいたします。
また具体的な中止の時期も確認をし、中止が必要な際には、中止日及び再開日をお間違えの無いようにお気をつけください。

血液サラサラの薬の注意事項として、高脂血症(高コレステロール血症)の治療薬を血液サラサラの薬と認識している方もいます。ご自身の飲んでいる内服薬のきちんとした把握をお願い致します。

 

血糖値を下げる薬(糖尿病の薬、インスリン)

血糖値を下げる可能性のある糖尿病の薬は、低血糖症を防ぐために内視鏡検査当日の服用中止をお願いしています。大腸ポリープ切除などの検査後に食事制限があるような場合を除き、当日もしくは翌日から内服再開をしていただけます。

糖尿病の内服薬は複数飲まれていることも多いため、どれが糖尿病の薬かをご本人が確実に認識しておくことが重要です。間違って内服してしまう、間違って飲まないといけない薬をやめてしまうなどがないようにして下さい。

またインスリンなどの皮下注射を使用している方も、中止をお願いしていますので検査前に医師と相談してください。その際はどの薬をどれくらいの量、いつ使用しているかがわかる様にしておいてください。
内服薬同様、大腸ポリープ切除などの検査後に食事制限があるような場合を除き、当日もしくは翌日から使用再開をしていただけます。

食事制限がかかってしまう場合は、内服薬・注射薬共に再開の時期や量を指示させていただくことが有ります。
その際にHbA1cなどのご自身の血糖のコントロール状態がわかるものがあると尚安心です。

糖尿病においては薬剤中止による高血糖より、薬剤継続による低血糖の方が重篤の為、正確な情報の提供と内服・注射の中止・再開のご協力をお願い致します。

血圧を下げる薬(高血圧症の薬、降圧剤)

高血圧症で血圧を下げる薬を服用している場合、検査当日も服用をお願いしています。
可能であれば検査の2時間前までには内服をお願い致します。
服用中止により、検査時に血圧が高くなる、生検などの際に出血しやすくなる可能性があります。

その他の薬

抗不整脈薬などの心臓の薬、抗てんかん薬、喘息の薬、ステロイドなどは中止により病状の悪化が考えられる薬です。
これらの薬を服用している方は、検査の約2時間前までは定期的な服用を継続するようにお願いします。

まとめ

それそれの患者さんの状態に応じて様々な薬が、様々な用法・容量で処方されています。
胃カメラ・大腸カメラ検査をする際に、中止すべき薬・中止しない方が良い薬があります。
いづれの場合においても自己判断で中止や再開はせず、処方医に相談下さい。
またご自身の内服している薬の把握、ご自身の病状の把握も非常に重要ですので、くれぐれも人任せにしないようにお願い致します。


 

著者

理事長さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック
和光市駅前院

理事長 吉良文孝

資格

日本内科学会認定 認定内科医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
日本糖尿病学会

経歴

平成15年東京慈恵会医科大学 卒業
平成15年東京警察病院
平成23年JCHO東京新宿メディカルセンター
平成29年株式会社サイキンソーCMEO
平成30年東長崎駅前内科クリニック開院

当院は和光市・朝霞市・志木市を中心に埼玉全域の方に、生活習慣病(高脂血症、糖尿病、高血圧)、消化器内科診察(胃腸科)、肝臓内科診察(脂肪肝)、内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)を提供します。

有楽町線・東武東上線・副都心線の和光市駅南口駅徒歩1分の立地になります。
池袋などの豊島区や練馬区・板橋区からもアクセスがよい立地になりますので、広い範囲の方に当院の医療を提供いたします。

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