肝占拠性病変とは
正常な肝臓は肝細胞から構成されています。
肝占拠性病変とは、肝臓内に腫瘍やしこりなどの塊状の病変が生じている状態のことです。
腹部エコー検査の際にたまたま発見されることが大半ですが、MRIやCTで発見されることもあり、検査では良性・悪性を区別することが求められます。
肝臓内には以下のような種類の腫瘍やしこりが生じる恐れがあります。
肝嚢胞(かんのうほう)
良性の病変で比較的起こりやすいものです。
肝臓内に生じる袋状の病変で、袋の中には液体が貯まっているため、肝臓内に水溜りができたような状態となります。
特段の症状は現れないため、こまめに状態を確認することとなります。
肝臓ではなく腎臓にのう胞が生じる恐れもあり、疾患によっては肝臓や腎臓にのう胞が複数生じるタイプもあります。
肝血管腫(かんけっかんしゅ)
肝臓に生じる良性腫瘍ではよくあるタイプのものです。
エコー検査の際に正常な肝細胞と比べて明るい円形状に映る傾向にあります。
特段の症状は現れませんが、こまめに検査を受けてサイズなどを確認することが重要です。
最初の発見の際やサイズや形状によってMRIやCTなどで良性・悪性の区別を行います。
発症から時間が経ってから悪性だと判明する珍しいケースも存在しますので、こまめにエコー検査を受けることが重要です。
原発性肝がん(げんぱつせいかんがん)
俗に言う肝細胞がんのことです。
原因不明の肝臓がんもありますが、ウイルス性肝炎・肝硬変、B型肝炎ウイルスキャリア、アルコール性肝硬変、慢性肝炎はがんの発生原因となるような病変が肝臓内で生じている場合が多いです。
したがって、がんを発症するリスクが高い方はこまめにエコー検査を受けて状態を確認することが重要です。
転移性肝がん(てんいせいかんがん)
リンパ節や血流によってがん細胞は全身に転移していきます。
別の場所で生じたがん細胞が血流によって肝臓に到達し残存すると、転移巣として腫瘍ができます。
肝臓には体の様々な場所から血液が運ばれてくるため、比較的転移しやすい場所だと考えられています。
転移性肝がんは原発性肝がんよりも発症率が高く、特に胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんから転移するケースがよく見られ、場合によっては多発する恐れもあります。
著者
資格
日本内科学会認定 認定内科医日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
日本糖尿病学会
経歴
平成15年 | 東京慈恵会医科大学 卒業 |
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平成15年 | 東京警察病院 |
平成23年 | JCHO東京新宿メディカルセンター |
平成29年 | 株式会社サイキンソーCMEO |
平成30年 | 東長崎駅前内科クリニック開院 |