~帯状疱疹ワクチンの重要性について~
「さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック和光市駅前院」院長の小幡です。
本日は帯状疱疹ワクチンについてのお話です。
なぜ消化器内科で帯状疱疹の話をするのかというと、腹痛で受診される方の一部に帯状疱疹の患者さんがいあらっしゃるからです。
帯状疱疹の原因ウイルスであるVZV(水痘・帯状疱疹ウイルス)は日本人成人の90%以上の体内に潜んでおり、加齢やストレス、基礎疾患(糖尿病など)による免疫機能の低下などによりVZVが再活性化して発症するといわれています。
50歳以上で発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症する疾患です。また最近の米国の調査では、50歳以上で新型コロナウイルス感染症にり患した人は、そうでない人と比較して帯状疱疹の発症リスクが15%高かったと報告しています。
症状としては、体の片側の一部(おなかや臀部など)にピリピリした痛みが特徴で、赤い水疱を伴う発疹がみられることもあります。早期に抗ウイルス治療を行うことで神経の炎症を抑え、顔面神経麻痺や失明などの合併症の予防が期待できます。
また腹部背部の帯状疱疹の場合、一部の人は皮膚の発疹より先に、痛みが出てくる方がいます。そのような方は皮膚科の前に消化器内科に受診をされることがあります。
しかしながら高齢の方や、皮膚の炎症が強い方は適切な治療を行っても痛みが残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛と呼んでいます。帯状疱疹後神経痛は「刺すような焼けるような痛み」と表現され、生活に大きな支障をきたします。出現率は帯状疱疹発症3か月後で7~25%、6ヶ月後で5~13%という報告があり、治療が遅れると完治が難しくなるといわれています。
このように帯状疱疹は発症しないことが重要であり、対策として「帯状疱疹ワクチン」が開発されました。帯状疱疹ワクチンは発症前に接種しておくことで重症化を予防でき、さらには先程述べた帯状疱疹後神経痛になりにくくする効果もあります。
2020年に販売された乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス」は50歳以上の成人に2か月間隔で2回接種すると、発症予防効果が97.2%、神経痛抑制効果が88.8%であったと報告されています。(ZOSTER-006試験)また効果は9年以上持続することも確認されています。
従来の水痘ワクチン(生ワクチン)はステロイドや抗がん剤治療中など免疫力が低下している方には使用できませんでしたが、乾燥組換え帯状疱疹ワクチンは接種が可能です。
当院では、50歳以上の方を対象にシングリックスの接種を行っております。(1回22000円 2か月間隔で2回接種)
接種を希望される方や、もっと詳しくお聞きになりたい方は当院までお問い合わせください。
著者
資格
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ヘリコバクターピロリ感染症認定医
埼玉県難病指定医
経歴
平成20年 | 日本大学医学部 卒業 |
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平成20年 | 東京医科歯科大学病院 |
平成22年 | 東京慈恵会医科大学付属病院 |
令和元年 | 吉祥寺南病院 消化器内科医長 |
令和2年 | 医療法人社団おなか会 おなかクリニック |
令和5年 | さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニック和光市駅前院 院長 |