目次
このような症状はありませんか?
胸やけがある
胸や喉につかえ感・違和感がある
背中の痛み(肩甲骨付近)がある
- 物が飲み込みにくい
- いつも喉に何かが詰まる感じがある
- 喉が張り付く感じがする
咳が慢性的にある
口の中がすっぱい感じがする
朝に胃の辺りがむかむかする
みぞおちがシクシクキリキリする
胃から胸にかけての張り感がある
ゲップと共にすっぱいものが上がる
- 寝るとむせこむ
胸やけの原因
胸やけの原因には大きく3つの要素があります。
①胃酸の増加すること
②胃酸が逆流しやすくなること
➂胃酸に対する過敏性の上昇
これらの原因により胸やけ・すっぱいものが上がる(呑酸)・のどの違和感つまり感・胸のムカムカなどが起こることがあります。
胃酸の増加
人間だれしもが多少の胃酸逆流があります。
しかし胃酸の量が過剰に分泌されると逆流する胃酸の量が増えることで胃酸による症状が出やすくなります。
胃酸を増やす原因としては様々なものがありますが、下記に例を挙げます。
- ストレス
- 飲酒
- 喫煙習慣
- 脂っぽい食事
- カフェイン摂取
- 刺激物の過剰な摂取
等が上げられます。
胃酸を増やすような習慣(禁煙・アルコールを減らすなど)を改善することで症状の予防が可能になるケースがあります。
辛い物を摂取自体は胃の動きをよくするため、悪いものではありませんが過剰になると症状が出やすくなります。
胃酸が逆流しやすくなる
本来は胃と食道の間には胃酸が逆流しないように下部食道括約筋という筋肉による逆流防止機構が備わっています。
ここに異常をきたし逆流防止が弱くなると胃酸の逆流が起こります。
主な原因は
- 食道裂孔ヘルニア(胃と食道の境目の下部食道括約筋がゆるくなる状態)
- 急激なダイエット
- 炭酸水の急な摂取 など
このような状態では下部食道括約筋が弱くなるため簡単に胃酸が逆流するようになります。
横に寝るだけで逆流するなどです。
また逆流防止に異常がなくても、胃や腹の方からの圧力(腹圧)が高まる場合も、下部食道括約筋の力より強い力が胃から働くことで胃酸逆流をしやすくなります。
- 便秘によって胃内の胃酸が胃から出ていきにくい
- 胃の機能低下によって胃酸が溜まりやすい
- 猫背など姿勢が悪いため胃が圧迫されやすい
- 食後食べてすぐに横になる
- 満腹まで食べてしまう
- 刺激物の過剰摂取
- 妊娠によって胃が圧迫される
- 肥満(お腹に脂肪がつきすぎて腹圧が上昇することでの胃酸逆流)
- 赤ちゃんの抱っこ紐、コルセット着用、ベルトの締めすぎ、そのほか腹部の持続的な圧迫 など
必要に応じ生活習慣に注意をして、適切な対処法(暴飲暴食しない、食べ過ぎない、姿勢をよくする、痩せる)で胃酸を上がる可能性を減らしていきましょう。
複合的な要因で発生していることあるので、一つだけの改善では効果が乏しいです。
胃酸に対する過敏性の上昇
過敏性の上昇とは、同じ胃酸による刺激に対して普段より違和感や痛みを感じやすくなることを言います。
このような状態がある場合は、胃酸の増加や胃酸の逆流に変化がなくても症状が出ます。
- ストレス
- 慢性の食道炎
- 機能性ディスペプシア など
上記のような状態は食道が胃酸の刺激に対して、様々な反応をするようになります。
過敏性の上昇の治療は通常の薬が効きにくく、治療に難渋するケースが多いのが特徴です。
非びらん性胃食道逆流症という病態の多くがこの状態です。
逆流性食道炎について
逆流性食道炎とは、強い酸性の胃酸が逆流することで食道粘膜が炎症を起こし、胸やけの症状が現れる病気です。
胸やけ以外にも胸の違和感・のどのつまり感・みぞおちの不快感、咳が出る、喉がひりひり、背中が痛いするなどの症状を訴える方が多くいらっしゃいます。
内視鏡検査で食道に炎症があるびらん性逆流性食道炎と内視鏡所見に異常がない非びらん性胃食道逆流症があります。
問診だけで区別月中いケースもありますので、胸やけなどにお悩みの方は、一度専門医に相談の上で胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
胸やけの検査方法
胸やけが長引く場合は逆流性食道炎の恐れがありますので、胃カメラ検査によって状態を確認していきます。
胃カメラ検査とはいいますが、咽頭や食道もしっかり観察します。
胸やけからみつかった進行食道がんなどの症例もありますので、症状のある方は積極的に検査をお受け下さい。
胃カメラ検査に苦手意識を持っている方も多いかと思いますが、当院では患者様の負担を最小限に抑えられるような検査となるように最大限努めておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
食道炎の検査目的で胃カメラ検査を実施される方で、慢性胃炎・食道アカラシア・食道がん(進行がん含む)、好酸球性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など別の病気が見つかることもあります。
症状のある方は胃カメラ検査をお受け下さい。
胸やけの治療
薬物療法
まずは胃酸を抑える薬を処方することが多いです。
胃酸を抑える薬にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2ブロッカー、ポタシウムチャンネルブロッカーなどがあります。
また胃の動きが悪い方へは胃の動きを活発にする消化管運動賦活剤を
食道の感覚が敏感になった方には粘膜保護剤を
便秘の方は下剤を
ストレスや機能性ディスペプシアの方には漢方薬を
などそれぞれの病態に合ったや内服薬を処方します。
1回の処方で改善しない事も多く、長期間受診をお願いしているケースもあります。
また処方内容も状況に応じ変更をしていくので根気よく治療にお付き合いいただいています。
完治という事が難しいケースもあり、症状を安定させることが目的になる場合もあります。
生活習慣改善
様々な食べ物・飲み物・嗜好品・生活習慣改善をコツコツ続けることで症状の緩和が可能なことがあります。
- 禁煙
- 節酒
- 運動習慣
- 姿勢を正す
- 急に食べる(早食い)のをやめる
- 寝る前3-4時間はものを食べない、食べてすぐに寝ない
- 衣服を締め付けすぎない
- カフェイン摂取を減らす
- 刺激物を減らす
- 症状のある時に牛乳を飲む・ヨーグルトを少し摂取するなど
生活習慣改善はかなり有効なことが多いので、複数の生活習慣の改善をお願いしています。
市販薬の使用
市販薬の中にも効果が望めるものが多くあります。
胃や食道の症状に関しては処方薬の方が市販薬より良いというわけではありません。
市販薬の種類のよっては処方薬より効果が高いものもあり、また薬の反応にも個人差があります。
メンソールの成分含む市販薬は症状を緩和する効果のあるものがあります。
市販薬の活用も是非ご検討下さい。
ただ漫然と市販薬を飲んでいて、進行がんなどの病気を見逃すこともあるため、効果が見込めない場合は早めに消化器専門医を受診ください。
胸やけの診断治療
一言に胸やけといっても様々な原因があり、治療も多岐にわたります。
食べ物や飲み物など食習慣改善のみでは改善しない事も多く、医療機関での治療をお勧めします。
男性と女性で少し症状の出方が違う事もあり、外来での問診や診察も重要です。
その一方で診断に関しても確かな内視鏡検査診断技術が求められます。
内視鏡診断技術と外来での経験の両方を兼ね備えているクリニックでの診断治療をお勧めします。
当院では胃カメラ検査などの内視鏡検査のみならず外来診療に特に力を入れております。
胸やけでお困りの際は是非当院にご相談ください。
著者
資格
日本内科学会認定 認定内科医日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
日本糖尿病学会