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内視鏡の麻酔に使用される薬剤について

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内視鏡検査における全身麻酔と使用される薬剤について

内視鏡検査は消化器疾患の診断や治療において重要な役割を果たします。
しかし、多くの患者が内視鏡検査に対する恐怖や不安を抱いており、これを軽減するために全身麻酔や鎮静薬が使用される場合があります。
この記事では、内視鏡検査における全身麻酔の目的、使用される薬剤の種類、そして安全性について詳しく解説します。


全身麻酔を使用する目的

内視鏡検査では、特に大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡)胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)を受ける患者にとって、不快感や苦痛が伴うことがあります。
全身麻酔は以下の目的で使用されます。

  • 不快感の軽減:咽頭反射(のどの奥の反応)や腸の膨満感による不快感を最小限に抑えるため。
  • 検査の精度向上:患者がリラックスした状態でいることで、内視鏡の操作性が向上し、より正確な診断が可能になる。
  • 心理的負担の軽減:検査中の記憶をなくすことで、心理的なストレスを軽減。

使用される薬剤の種類

内視鏡検査で使用される薬剤には、鎮静薬麻酔薬が含まれます。以下は主に使用される薬剤の例です。

1. ミダゾラム(商品名:ドルミカム)

ミダゾラムは、ベンゾジアゼピン系の短時間作用型鎮静薬で、不安感の軽減と軽い鎮静を目的に使用されます。
作用時間が短いため、検査後の回復も早いのが特徴です。

効果が強く出すぎた場合は拮抗薬が存在しているため、過鎮静に対する対応が可能な薬剤です。

  • 特徴:作用時間が30分から1時間程度。一度の使用でしばらく効果が持続。
  • 効果:鎮静作用、健忘効果(検査中の記憶をなくす)。

2. プロポフォール(商品名:ディプリバン)

プロポフォールは、速やかに鎮静状態を誘導し、維持することができる静脈麻酔薬です。
その速効性と回復の速さから、特に全身麻酔が必要な場合によく使用されます。
長短時間の麻酔薬です。
大豆アレルギーの方には使用できません。
昨年某テレビ番組で使用されていたことで、麻酔学会など各学会から内視鏡の際の使用に関しての注意喚起が出ている薬剤です。
急激な麻酔導入効果があること、拮抗薬がないこともあり、
使用においては原則麻酔を専門に扱う医師(麻酔の専門医)が内視鏡検査医と別に居る必要があるとされています。

  • 特徴:作用発現が速く、数十秒から数分で効果が現れる。効果の持続も短く、頻回投与が必要。
  • 効果:深い鎮静状態を作り、患者の意識を一時的に消失させる。

3. ペチジンやフェンタニル

ペチジンやフェンタニルは、オピオイド系鎮痛薬で、内視鏡検査中の痛みを抑えるために使用されます。
鎮痛効果が高く、必要に応じて低用量で投与されます。
作用時間は比較的長く、単体だけでは眠るまで効果が出ることはありません。
その他の麻酔薬と併用することで麻酔薬の総量を減らすことが出来ます。
嘔気の副作用がでることが有り、検査後にしばらく継続する方がいます。
拮抗薬が存在しているため、中和が可能です。

  • 特徴:強力な鎮痛作用。
  • 効果:腸の膨張による痛みの緩和。

4. デクスメデトミジン(商品名:プレセデックス)

デクスメデトミジンは、患者が軽度の意識を保ちながらリラックスすることを目的に使用される薬剤です。
心血管系への負担が少なく、高齢者やリスクの高い患者に適しています。
一般の内視鏡クリニックで使用されることは少ない薬剤です。

  • 特徴:心拍数や血圧への影響が少ない。
  • 効果:自然な鎮静と軽い鎮痛作用。

全身麻酔と安全性

全身麻酔を伴う内視鏡検査は、一般的に安全な手技とされていますが、以下の点に注意が必要です。

  • 専門医の管理:麻酔科医や経験豊富な医師が麻酔の管理を行うことで、リスクを最小限に抑えます。
  • 副作用のリスク:呼吸抑制や血圧低下などの副作用が発生する可能性があるため、慎重なモニタリングが必要です。
  • 患者の状態の把握:心疾患や呼吸器疾患を持つ患者には、特別な配慮が求められます。
             麻酔により痛みなど以上に対する生体反応が減弱するために検査中の観察に注意が必要です。

全身麻酔を伴う内視鏡検査の選択肢

患者の快適性を重視するクリニックや病院では、全身麻酔や鎮静薬を活用した内視鏡検査を提供しています。検査を受ける際には、事前に医師と相談し、最適な方法を選択することが大切です。

当院では拮抗薬が有ること、急激な鎮静効果発現を避けることが大事と考えているので、安全な内視鏡検査を実施するためにペチジンとドルミカムの使用をしています。
状況に応じ併用するする場合もあります。

今後はドルミカムより持続時間が短いベンゾジアゼピン系のレミマゾラムという薬剤が使用可能になると思われます。

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