「お腹が張る」と感じる女性へ—原因と対処法について
お腹が張る、ガスがたまる、お腹がぽっこりするという症状に悩んで外来を受診する女性は少なくありません。
この腹満感症状は、日常生活において不快感をもたらし、生活の質を低下させる症状です。
重大な病気が中には隠れていることもあるので、注意が必要です。
お腹が張る原因と関連する症状
お腹が張るという状態は実際に張っている時と張っているように感じる時とがあります。
主に胃や腸に何らかの異常が生じることで起こります。
多くの場合、ガスが溜まりやすくなることで、腹部が膨満し、痛みや不快感を感じることがあります。
またガスが溜まっていなくても張りに関して敏感になってしまうことで腹満感が出ることがあります。
張り感のみの場合は機能性腹部膨満と言われますが、便秘や下痢、過敏性腸症候群(IBS)などが原因となっていることもあります。
便秘は特に女性に多く見られ、腸の働きが低下することで、便がうまく排出されず、腸内に便から発生したガスが溜まりやすくなります。
これにより、お腹が張る状態が生じます。
また、下痢の場合も、腸の動きが強くなることで少ないガスでも腹部の張りを感じてしまうことがあります。
特に女性の方の場合は、婦人科領域から張り感がでる場合・腸の下垂からから張り感が出る場合があります。
生理前後ではホルモンのバランスに変化が生じ、それに伴い腸の動きも変わります。
生理前に下痢っぽくなる人が多い印象ですが、その際に張り感を感じる方がいます。また逆に生理後の便秘の際に張り感が出る場合もあります。
その他にも子宮筋腫や卵巣嚢腫などによる腸への圧迫や癒着、婦人科臓器の手術による腸の癒着による張り感・引き連れ感を感じる方もいます。
腹骨盤・背部・腸の筋肉も大事で、急なダイエットなどで体重を落とすなどで腸の筋肉がおちると腸が下垂傾向になり、下垂することでガスが出にくくなって張り感が出ます。立つと下腹部がポッコリするという方は下垂していることが多いです。
ダイエットをしていなくても運動不足や太れない体質などの方、ひどい便秘を長年繰り返していて腸が伸びてしまった方にも同様の事が起こりえます。
それ以外にも腹部臓器の疾患でも症状が出るため、一概に婦人科臓器や腸のみとは限りません。
肝臓胆嚢膵臓の疾患でも張り感を感じる可能性があります。
機能性の疾患のみではなく器質的な疾患を見逃さないことが重要です。
診断と検査方法
お腹が張る症状を診断するためには、まずは器質的疾患の除外が必要です。
内科や消化器科、場合によっては産婦人科での診察が必要です。
消化器領域では大腸カメラを中心に胃カメラ・腹部エコー検査などを実施します。
治療と改善方法
器質的疾患には疾患に応じた治療を行います。
器質的疾患の無い機能性の腹部膨満と診断した場合には、消化管の機能低下が原因であれば、蠕動を助ける薬や便秘を改善する薬が処方されます。
また、過敏性腸症候群の場合は、ストレス管理や食事療法が重要な役割を果たします。
また、生活習慣の改善も重要です。適度な運動や筋トレを取り入れることで、骨盤・腹部・背部の筋肉をつけ、腸の働きを促進し、便秘やガス溜まりを防ぐことができます。
さらに、ストレスが消化管に与える影響を減らすために、リラクゼーション法やヨガなどを実践することもおすすめです。
本院である東長崎駅前内科クリニックではチネイザンセラピーを実施し、全身の緊張やストレス緩和の治療を行っています。
注意が必要な場合
お腹が張る症状が長期間続く場合や、急激に悪化する場合は、腹痛や下痢、便に血が混じるなどの症状がある場合は、重大な疾患が原因である可能性があります。
自身で問題ないと判断せずに、一度消化器内科に相談ください。
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