目次
のどの違和感・つまり感・飲み込みにくい
以下のようなのどや胸の症状を抱えて当院にお越しになる患者様が増えております。
- のどのつまりがずっと続いている
- のどの奥に異物感がある
- 飲み込みづらさを感じる
- 胸が苦しい
- 耳鼻科を受診したが特段問題なかった
- 複数の病院に行っているが症状が改善しない
のどの違和感・つまり感の原因となる疾患
逆流性食道炎・非びらん性胃食道逆流症
逆流性食道炎は最も患者様が多いと言われています。
食道に胃酸が逆流することによる炎症で複数の症状が現れます。
特に食道裂肛ヘルニアの患者様は症状が現れやすいと考えられています。
また、内視鏡検査では炎症が見つからない非びらん性胃食道逆流症(Non Erosive GERD:Non Erosive Gastro Esophageal Reflux Disease:NERD)というタイプのものもあります。
一般的な逆流性食道炎とは異なり、非びらん性胃食道逆流症ではのどのつかえ感が現れることが多く、様々な症状が起こり得ます。
非びらん性胃食道逆流症の方が治療の難易度も高く、耳鼻科では咽喉頭逆流症(LPRD)として治療を行うこともあります。
咽喉頭異常感症
のどに違和感はあるが検査では特段の問題が見つからない状態のことです。「ヒステリー球」とも呼ばれますが、明確な発症原因は分かっておらず、ストレスがきっかけで症状が現れるケースもあります。
最初は耳鼻科を受診して特に異常がなかったため、消化器内科を改めて受診するという患者様が多い傾向にあります。
上記の非びらん性胃食道逆流症(Non Erosive GERD:Non Erosive Gastro Esophageal Reflux Disease:NERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)との鑑別が難しく、治療の難易度が高いことがほとんどです。場合によっては精神科・心療内科をご紹介することもあります。
食道カンジダ・カンジダ性食道炎
人の皮膚にすみついているカビの一種であるカンジタが、何らかの理由で食道粘膜に辿り着いて増殖することで、様々な症状が現れます。
のどの詰まった感じ、しみる感じがする場合は軽症ですが。症状がひどくなると嚥下する際の痛みやそもそも嚥下できない状態に陥ります。
胃カメラ検査によって白い苔状の物質が食道にないか確認することで診断していきます。
発症原因としては、免疫低下が起こるHIVのような病気、喘息の吸入薬の使用、抗がん剤使用、PPIという胃薬の使用などが挙げられます。
原因を解消できれば症状が収まるケースもあれば、抗真菌剤の内服が必要となるケースもあります。
食道アカラシア
食道アカラシアとは、食道と胃の繋ぎ目部分の括約筋が弛緩できなくなることで、食べ物が食道内に残留し、胃に運ばれなくなる病気のことです。発症原因としては、食道の筋肉を動かす神経に異常が起こることだと考えられており、神経の異常によって括約筋の動きに悪影響が及び、下部食道が開かなくなります。
症状は、のどがつかえるように感じる程度から、食事の度に嘔吐する、激しい体重減少なども現れることがあります。発症率は0.002〜0.003%程度であり、症状が軽いと診断が難しくなることもあります。
胃カメラによって診断を行い、食道の状態を確認していきます。
薬物療法はそこまで有効ではなく治療効果が十分でないことが多いため、内視鏡手術で治療していくこととなります。
好酸球性食道炎
近年増加傾向にある病気で、難病指定もされています。
医師に知識が無いと診断が難しい病気であり、確定診断に至るまで一定の時間が必要となることがあります。
好酸球とは、アレルギーに影響している白血球の一つです。好酸球が食道に蓄積することで炎症が長期間続くようになります。症状は逆流性食道炎と似ていると言われています。
主な症状としては、のどのつかえた感じ、嚥下時の痛み、胸痛、胸やけなどがあげられます。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息を患っている30〜50代の男性の患者様が多い傾向にあります。
胃カメラ検査によって典型的な病変が発見されると好酸球食道炎の疑いが強まります。診断の難易度が高いため、経験のある医師の検査を受ける必要があります。検査によって食道粘膜に好酸球が多量に含まれていることが確認されると確定診断となります。
胃酸抑制効果があるプロトンポンプ阻害薬(PPI)によって治療を行いますが、効果が不十分な場合は抗アレルギー薬を内服することもあります。また、気管支喘息の治療で用いる吸入薬を使用する場合は、保険適用の対象外となりますのでご注意ください。
食事内容を見直して卵、大豆、小麦、魚介類、乳製品、ナッツ類などの摂取を避ける場合もありますが、実施をし続けることが困難であり、効果を確約できるものでもありません。
好酸球は食道以外に蓄積することもあり、胃腸に蓄積する場合は好酸球胃腸炎と呼ばれています。
食道がん
食道に関係する症状がある場合、食道がんには特に注意が必要です。
無症状のケースもありますが、症状が現れている場合は重篤な状態に至る恐れもあります。
症状があれば至急で検査が必要ということにはなりませんが、薬物療法で効果が不十分な場合は一度胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
若い方、お酒やタバコを嗜まない方は発症リスクが低いですが、当院ではそのような低リスクの患者様で食道がんが見つかったこともありましたので、なかなか症状が改善されない場合は一度当院までご相談ください。
食道憩室
食道憩室とは、食道壁の一部が凹んで突出した状態のことです。
無症状の場合が大半ですが、吐き気・嘔吐、飲み込みづらさなどの症状が現れることもあります。
食道の入り口(食道入口部)にできる場合は咽頭食道憩室、食道の中心部(胸部中部食道)にできる場合は気管分岐部憩室、横隔膜上部(横隔膜上)にできる場合は横隔膜上憩室と呼ばれます。
内視鏡検査や胃バリウム検査で発見されるケースがほとんどで、特段の治療は不要となります。
心疾患
心疾患が原因で食道の症状が現れるケースもあります。
適切な問診で心疾患の疑いを持つことはできますが、経験豊富な医師でないとスルーしてしまう恐れもあります。
一般的には心電図、ホルター心電図、心エコーなどで検査を実施しますが、当院では心電図、心エコーを行っております。
のどの違和感・つまり感の検査
上記のようなのどのつかえ感、違和感を起こす病気は様々あります。
当院では以下のような豊富な検査によって原因疾患の診療を実施していきます。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
のどの違和感・つまり感の原因を調べる際の基本の検査です。
当院では、咽頭、胃・十二指腸、食道の検査が可能であり、食道疾患の診断へとつなげています。
内視鏡検査で食道の状態を確認し、必要に応じて生検を行って精度の高い診断を実現しています。
腹部超音波検査(腹部エコー検査)
経験豊富な卓越した技量を持つ専門医が腹部超音波検査を担当します。
膵臓、肝臓、胆のうの状態を確認します。
胃カメラ検査との同日検査や、予約無しで検査ができる場合もあります。
採血
腫瘍マーカーチェック、膵臓のチェックなど、様々な項目を確認可能な重要な検査です。
心電図・心エコー
心疾患の疑いがある場合に実施します。
総合病院の循環器科をご紹介する場合もあれば、当院単体で検査を行うこともあります。
のどの違和感・つまり感の治療
原因疾患によって適切な治療方法は様々です。
のどの違和感、つかえ感があって検査をしても特段の問題が見つからないこともあります。
そうしたケースでは内服薬を飲んでいただき一旦経過観察をしながら服用効果を確認することがあり、この方法を診断的治療と呼びます(例:食道炎の治療薬が有効だったので食道炎 など)。
消化器領域の機能性疾患において診断的治療を実施するケースは比較的一般的です。
著者
資格
日本内科学会認定 認定内科医日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 内視鏡専門医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医
日本消化管学会認定 胃腸科指導医
日本糖尿病学会
経歴
平成15年 | 東京慈恵会医科大学 卒業 |
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平成15年 | 東京警察病院 |
平成23年 | JCHO東京新宿メディカルセンター |
平成29年 | 株式会社サイキンソーCMEO |
平成30年 | 東長崎駅前内科クリニック開院 |