大腸カメラの費用はいくら?保険適用で検査する条件や軽減方法を解説

大腸カメラの検査にかかる費用は、『治療が必要なのか』『病気の有無を調べるのか』など、受け方や受ける状況によるため一定ではありません。
ではどういう受け方があり、どのような場合に費用に差が生じるのでしょうか?
この記事では、大腸カメラ検査を受ける際の費用や内容、検査費用を軽減する方法を紹介します。 大腸カメラを受けようと考えている方、費用の詳細を知っておきたい方は、ぜひご覧ください。 

大腸カメラの費用

大腸カメラの費用は、保険診療と自由診療の2つの診療方法のどちらで受けるかによって、それぞれ違いがあります。
大腸カメラ検査について、保険診療と自由診療の違いを解説したうえで、それぞれどの程度の費用になるのかを紹介します。

保険診療と自由診療の違い

保険診療と自由診療における費用面の大きな違いは、保険適用で医療が受けられるかどうかです。
保険診療と自由診療のおもな違いは以下です。

保険診療では、労災保険(業務上や通勤中の病気やケガ)以外で治療が必要な異常が身体にある場合、以下の診療が該当します。
診察・検査・薬・注射 治療材料など 処置・手術 入院・看護 厚生労働省に承認されている保険診療の内容にはそれぞれ決められた点数(診療報酬点数)があり、それをもとに費用が計算されるため、医療機関の違いによる費用の差は生じません。

一方、自由診療は保険が適用されない、身体に病気などの異常がない場合の診療のことで、美容医療や正常な分娩・人工妊娠や中絶、差額ベッド代や健康診断・人間ドックなどが該当します。
自由診療では医療機関によってそれぞれ費用設定が可能で、負担割合は保険が適用されないため全額となり、そのなかには自覚症状などの異常が特に認められない場合の大腸カメラ検査も含まれます。
自由診療における大腸カメラ検査は、費用負担が保険診療のように軽減されませんが、早期発見することで完治の可能性がある大腸がんの発見に対して有効です。
自覚症状がある場合に放置しないことはもちろん、自覚症状がなくても40歳を過ぎた場合、大腸カメラ検査を積極的に受けるよう推奨されています。

健康保険適用の場合の費用

健康保険適用(3割負担)の場合の大腸カメラ検査は、観察のみで済んだ場合は検査自体で合計4,000~5,000円程度、大腸ポリープ切除まで行うと合計20,000~30,000円程度です。
大腸カメラ検査は以下のような症状がある場合、健康保険が適用されて保険診療となります。

  • 下痢・腹痛・血便や、その他の自覚症状がある場合
  • 大腸ポリープの切除が目的の場合
  • 健康診断の便潜血検査が陽性の場合の再検査
  • ほかの検査によって要精密検査の指示があった
  • 大腸カメラ検査後に、定期的な検査を医師に指示された
  • 大腸疾患があるため、医師から大腸カメラ検査を指示された場合
  • 大腸カメラ検査において医師の判断で生検病理組織検査を行う場合はその部分
  • 早期発見のための大腸カメラ検査でポリープなどを発見・切除した場合はその全て

負担割合は収入や年齢などにより1~3割負担となりますが、通常の成人の場合は健康保険が適用されて3割負担になると考えていいでしょう。
自由診療で検査を受けても、異常が発見され手術になる場合には健康保険が適用になる場合があります。
大腸カメラ検査は厚生労働省の規定により、観察する部位や切除するポリープの大きさによって差が発生しますが、医療機関による差はほとんどありません。
保険診療は自由診療と比べると幾つか制約はありますが、費用面からみると全額負担の場合と比べて負担は軽減されます。

自由診療の場合の費用

医療機関によって費用に違いがありますが、自由診療の場合は大腸カメラ検査による観察のみの費用となり、相場としては15,000~30,000円程度です。
健康保険が適用されない大腸カメラ検査や健康診断などは、医療機関による費用の設定が可能であるため、受ける医療機関によって費用設定はさまざまで負担割合は全額となります。
しかし病変が発見されて生検が発生すると生検費用に対して健康保険が適用となり、ポリープが発見されて切除する場合はその全てが保険診療に切り替わります。
『たまに腹痛がある』『便秘気味』『お腹が張る』『最近よく下痢になる』など、病気と思わずに様子をみていた症状は、もしかしたら検査が必要な病気の症状かもしれません。
保険適用になるかどうかは検査を受けるうえで重要ですが、大腸カメラ検査を受けることを前提に、自身の体調をよく観察して医療機関を受診しましょう。

大腸カメラ検査の内容

大腸カメラ検査では、観察以外にも状況によって行われる処置があり、その内容によって費用負担にも変化が生じる場合があります。
ここでは、大腸カメラ検査の内容と、保険診療の場合の費用について紹介します。

大腸カメラ検査(観察)

保険診療による大腸カメラ検査の観察のみの場合の費用はおよそ4,000~5,000円です。
肛門から内視鏡を入れる大腸カメラ検査では、診る部位によって以下のように診療報酬点数に違いがあります。

  • S状結腸……900点
  • 下行結腸・横行結腸……1,350点
  • 上行結腸・盲腸……1,550点

※厚生労働省によって定められている標準報酬点数は1点=10円です。 肛門から遠いほど点数が高くなりますが、大腸カメラ検査の場合は一番奥の上行結腸・盲腸から観察します。
その場合上行結腸・盲腸の点数は1,550点、つまり15,500円ですが、健康保険を適用した3割負担では4,650円となり、保険診療として受ける場合はどの医療機関でも変わりません。
拡大鏡やバルーン内視鏡・粘膜点墨法などの観察方法を必要に応じて行う場合は、それぞれ必要点数を加算します。
また、自由診療の場合の大腸カメラ検査(観察)については検査を受ける医療機関による費用設定となるため、健康保険を適用しない場合の全額負担の15,500円となるわけではありません。

初再診料・採血・薬剤料など

保険診療の大腸カメラ検査の場合、診察料・使用した薬剤料などの費用として1,000~2,000円がかかります。
大腸カメラ検査の必要性を見極める医師による診察、検査中にポリープが見つかった際の切除手術を安全に行うための血液検査、検査中に必要な薬剤などが含まれます。
早期発見のための検査を自由診療で受けるつもりが、医師による診察の結果によって大腸カメラが必要な理由が見つかることも少なくありません。 初診や再診の際には、気になる症状などを忘れずに話すようにしましょう。

鎮静剤・全身麻酔など

大腸カメラ検査は肛門からのカメラの挿入に苦痛が伴うというイメージがある検査ですが、鎮静剤・全身麻酔(静脈麻酔)を使用して苦痛を軽減することが可能です。
ただし、鎮静剤を選択するとその分追加費用が発生します。
使用する鎮静剤にもよりますが、保険診療では3割負担で60~540円程度となります。
大腸カメラ検査を自由診療として受ける際でも鎮静剤の費用はそれほど大きな額ではないため、安心して検査を受けるためにも鎮静剤の選択をおすすめします。

生検・病理組織検査

自由診療として大腸カメラ検査を受けている際に異常が認められた場合は、組織を採取(生検)して病理組織検査を行います。
大腸カメラ検査は自由診療で受けても、医師の指示により追加される生検・病理組織検査については健康保険が適用され、3割負担の3,500~7,000円程度が追加費用としてかかります。
また、生検・病理組織検査は生検を行う部位や数によって費用が変動します。

ポリープ・早期大腸がん切除

大腸カメラ検査でポリープや腫瘍が発見され切除手術が行われる場合、自由診療であってもそのまま保険診療に切り換えられます。
ポリープの切除手術が保険診療に切り替わると、診察料や血液検査なども含め3割負担として合計20,000~30,000円程度を目安とした費用となります。
大腸カメラ検査による大腸ポリープ切除は日帰り手術となりますが、切除した場所やポリープの大きさ、個数や切除方法などで実際の費用は上下することを念頭に置いておきましょう。
2cm以上のポリープは数回に分けて切除する、1cm以上あるポリープは入院や外科手術で対応する、切除可能な個数に上限があるなど、大腸カメラでのポリープの切除基準は医療機関によってさまざまです。 実際に使用する薬剤などによっても費用は変わるため、大腸カメラの際は少し多めに費用を用意しておくと安心です。

検査食など

大腸カメラ検査を受けやすくするために、検査食を提供している医療機関もあります。
健康保険の適用外ですが、3食入りで2,000円前後程度で、大腸カメラ検査に適した食事が摂れます。
大腸カメラ検査の場合、早くて3日前、遅くても前日から、消化がよく油分を避けた食事をして、できるだけ大腸内をきれいにすることで、検査の精度が上がります。 検査におすすめの食事を自分で用意しても問題はありませんが、検査食を利用する場合は費用の一部として計算に入れましょう。

大腸カメラ検査の費用を軽減できる場合

大腸カメラ検査では費用を軽減できる制度が幾つかあります。 検査費用を抑える方法を紹介します。

所属団体の助成

大腸カメラ検査や人間ドッグの費用は、健康保険組合や職場・保険会社など所属している団体によって補助や助成を受けられる場合があります。
対象となる年齢や指定された医療機関で受ける、ポリープ切除になった場合は通常の3割負担になるなど、細かい条件が指定されている場合が多くあります。
助成制度があるのかどうか、適用条件などを前もって確認したうえで利用しましょう。
健康保険の場合は検査時のほかにも、ポリープの切除数が多い場合など、思った以上に手術費が高額になってしまった場合、高額療養費制度の対象となる場合もあります。 大腸カメラ検査の前には自身の負担限度額を確認しておくことをおすすめします。

自治体の助成・補助制度

自治体では、職場で大腸がん健診などを受ける機会がない人を対象とした便潜血検査を、無料から500~1,000円程度の自己負担で助成している場合があります。
便潜血検査で異常があれば大腸カメラ検査は保険診療で受けられます。
また、なかには日帰りでも全額負担で30,000~70,000円と高額になる人間ドックの補助・助成を行う自治体もあります。
国民健康保険に加入している、保険料の滞納がないなどの場合に申請が可能です。 まずはお住まいの市町村に補助・助成制度があるかどうかを問い合わせて確認してみましょう。

医療費控除

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間にかかった医療費を確定申告することで、税金が一部還付される制度です。
1年間の医療費の合計から、高額療養費制度での還付や民間の医療保険の保険金などを差し引いた額が一定の額を越えた場合に適用される所得控除です。
健康診断や人間ドックなどは治療を行うものではないため医療費控除の対象とはなりません。
しかし、ポリープ切除や医師による指示での大腸カメラで保険適用になった場合は医療費控除の対象となります。
医療費控除を受けるには、確定申告を行いますが、大腸カメラ検査時のものも含め1年間に受けた医療費に関する領収書が全て必要であるため、廃棄せずに整理して保管しておきましょう。

まとめ

大腸カメラ検査の費用は保険診療で受ける場合はおよそ5,000~6,000円で、観察のみの自由診療の場合も高くて3万円ほどが相場です。
苦痛が伴うイメージをもつ人が多い大腸カメラは、今は鎮静剤を利用することで受けやすく、早期発見で完治の可能性が高い大腸がんを発見するためにはぜひおすすめしたい検査です。
での大腸カメラ検査は、無送気軸保持短縮法・水浸法を採用することで患者様の苦痛を抑えた検査を実現しています。
院内設備もトイレ付きの個室を複数ご用意するなど、ゆっくりと前処置を行える快適な検査環境は、自由診療や保険診療を問わずご利用頂けます。
まずはを受診いただき、どのようなささいなことでも気になる症状があればご相談ください。
また当院では事前の検査食を必須としておらず、検査費用の軽減も行っています。
費用面でも精神面でも、ご納得いただける検査を提供させていただきます。

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