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吐き気・嘔吐時の食事対処法|水分補給の進め方と受診目安

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気持ち悪さや嘔吐が続くと、「無理にでも食べるべき?」「水はどのタイミングで?」「医療機関に行くべきサインは?」など、判断に迷う場面が多いものです。とりわけ高温多湿の季節や、ウイルス性胃腸炎が流行する時期には、消化器トラブルが重なりやすく、ご家庭での対応に戸惑われる方も少なくありません。

本稿では、気持ち悪さや嘔吐がある際の食事・水分摂取に焦点を当て、胃腸に負担をかけない「補給の手順」と「医療機関への相談タイミング」を、医学的根拠に基づいて分かりやすく解説します。和光市・豊島区エリアで消化器内科の受診をお考えの方にも、判断材料としてお役立ていただける内容を心がけました。

30秒で理解できるポイント

  • 嘔吐直後は安静優先:症状が落ち着くまで(約30分を目安に)飲食を一時中断し、誤嚥リスクを減らす体位で休息を。
  • 水分補給は「頻回少量」が鉄則:一度に大量摂取すると再嘔吐のリスクが高まるため、スプーン1杯程度から開始。
  • 刺激の少ない飲料を選ぶ:経口補水液、白湯、薄めの茶類など、冷えすぎず常温に近いものが理想的。
  • 食事再開は段階的に:汁物 → 柔らかい主食(おかゆ等) → 低脂肪たんぱく質(豆腐等)の順で進める。
  • 避けるべき食品群:高脂肪食、スパイス類、アルコール、カフェイン飲料、柑橘類の酸、乳製品は症状改善まで控える。
  • 医療機関への相談目安:水分摂取困難、著しい倦怠感、激しい腹部痛、血性嘔吐、反復性嘔吐が持続する際は速やかに受診を。

気持ち悪さ・嘔吐時の食事管理とは?(基礎知識と誤解の解消)

なぜ飲食を控える時間帯が必要なのか

嘔吐症状がある局面では、消化管の蠕動運動が不安定になり、無理な飲食が追加の刺激となって再嘔吐を誘発しやすくなります。体力維持への焦りは理解できますが、まずは胃腸の安定化を優先することが、結果的に早期回復への最短ルートとなるケースが大半です。

誤った認識:「何としてでも食べなければ衰弱する」

「栄養不足で体力が落ちる」という懸念から、気分が悪い中でも無理に摂食を試みる方が散見されます。しかし、気持ち悪さが強い段階では、"食べられない自分"を責めるのではなく、脱水予防を最優先に段階的な食事再開を心がけることが重要です。短期的な摂取カロリー不足よりも、水分・電解質バランスの維持が優先されます。

気持ち悪さ・嘔吐を引き起こす主な要因(一般論)

気持ち悪さや嘔吐は、感染性腸炎・食中毒に限らず、医薬品の副反応、胃粘膜炎症、片頭痛発作、妊娠悪阻、精神的ストレス、便秘症、胆道系・膵臓疾患など、多岐にわたる原因で発生し得ます。症状が重度・長期化・反復する場合は、自己判断のみに頼らず、医療機関での精査が安心につながります。

症状評価と受診タイミング:いつ医療機関を頼るべきか(緊急度判定含む)

最優先で確認すべき「脱水症状」の兆候

嘔吐が継続すると、食事量減少よりも体液喪失(脱水)が健康リスクとなりやすくなります。以下の状態に該当する場合は要注意です。

  • 排尿回数が著しく減少/尿色が濃褐色
  • 口腔内・口唇の顕著な乾燥
  • 起立時のめまい、ふらつき感
  • 倦怠感が強く会話も困難
  • 乳幼児で涙量減少、不機嫌、意識レベル低下

早期受診を推奨するケース(一般的目安)

  • 水分摂取後も速やかに嘔吐/ほぼ水分補給できない状態の持続
  • 激しい腹痛の存在、または疼痛の増強傾向
  • 血性嘔吐物、または黒色調の吐物
  • 発熱・下痢を併発し、脱水リスクが高い
  • 高齢者、慢性疾患(心疾患・腎疾患・糖尿病等)保有者、妊娠中の方
  • 症状の長期化、反復性(「通常の胃腸炎と異なる」との違和感がある)

救急対応・緊急受診を検討すべき徴候(一般的目安)

以下はあくまで一般的指標ですが、該当する場合は迅速な相談・受診を検討してください。

  • 意識混濁、反応性の著しい低下
  • 激烈な頭痛、項部硬直、痙攣発作
  • 動けないほどの腹痛や腹部膨満感
  • 呼吸困難、胸部痛
  • 大量の吐血、止血困難な印象

※症状の感受性や背景因子(年齢・基礎疾患・服薬内容)により判断は変動します。迷う局面では、自己判断での我慢を続けず、医療機関または相談窓口へ早期にご相談ください。

気持ち悪さ・嘔吐時の食事管理:自宅での実践手順(水分・食事再開の進め方)

第1段階:嘔吐直後の対応(まずは休息を優先)

嘔吐直後の消化管は刺激に過敏な状態です。口腔内をすすぐ程度にとどめ、症状が安定するまで(目安として30分程度)飲食を控え、安静を保ちましょう。

  • 臥床する際は頭部を側方へ向け、嘔吐物の気道流入(誤嚥)を予防
  • 締め付ける衣類を緩め、楽な姿勢で休息
  • 乳幼児は特に誤嚥リスクが高いため、見守りながら休ませる

第2段階:症状が安定してきた段階(水分補給は「頻回少量」で)

「脱水が心配」との焦りから一気飲みしたくなりますが、ここが重要な分岐点です。頻回少量摂取が基本。最初はスプーン1杯〜一口程度から開始し、問題なければ回数を増やします。

飲料の選択:何を飲むのが適切か

  • 経口補水液:嘔吐・下痢で失われやすい水分・電解質の補充に適しています。
  • 白湯:刺激が最小限で、初回摂取として使いやすい選択肢。
  • 薄めの茶類(例:番茶):香り・カフェインの強い種類は避け、薄めで提供。
  • スポーツ飲料:糖分が高い製品もあるため、気分不良が強い時は希釈すると摂取しやすい場合も。
  • ゼリー状補水製品:液体摂取が困難な方(特に小児)で有用なケースがあります。

※乳幼児、腎疾患等で水分・電解質制限が必要な方は、適した飲料が異なる可能性があります。基礎疾患のある方は医療機関でご相談ください。

温度管理のポイント:冷却しすぎに注意

冷たい飲料は胃粘膜を刺激し、気持ち悪さを増悪させることがあります。常温〜微温程度が無難な選択です。

第3段階:水分摂取で症状が増悪しなくなった段階(汁物からスタート)

ある程度の水分補給が可能となり、気持ち悪さが軽減してきたら、次は「食事再開」のフェーズです。いきなり固形食ではなく、だし汁、味噌汁、コンソメスープなどの汁物から少量ずつ開始しましょう。

クリーム系スープなど乳製品が多いものは、体調が完全回復する前は適合しない可能性があるため、様子を見ながらの選択が安全です。

第4段階:汁物が問題ない段階(消化の良い固形食へ)

汁物摂取で気分不良が増悪せず、体調が安定してきたら、消化性の高い食品へ段階的にシフトします。

  • おかゆ、柔らかく炊いた白米
  • にゅうめん、うどん(油脂の少ないもの)
  • 豆腐、白身魚など(少量から)

ポイントは「一度の摂取量を抑える」「薄味を心がける」「温かいものを中心に」です。摂食後に気持ち悪さが再燃する場合は、量や固さを調整して前段階に戻しましょう。

症状改善まで控えるべき食品群

  • 高脂肪食(揚げ物、こってりしたラーメン等)
  • スパイス類、刺激的な調味料
  • アルコール飲料、カフェイン含有量の多い飲料
  • 柑橘類など酸味が強い食品
  • 乳製品(体調によっては悪化要因となる場合あり)

診察・検査の流れ(初診から精査・フォローまで)

気持ち悪さ・嘔吐は原因が多様なため、医療機関では「危険な兆候の有無」「脱水状態の評価」「原因として可能性の高い疾患」を確認しながら診療を進めます。ここでは一般的な診療の流れをご紹介します。

1) 問診(症状の詳細整理)

受診時に以下をメモしておくと、診療がスムーズに進みます。

  • 発症時期、嘔吐回数、嘔吐量の概算
  • 発熱・下痢・腹痛の有無(痛みの部位・程度)
  • 水分・食事の摂取可能量
  • 血性嘔吐物、黒色調の吐物など異常所見の有無
  • 周囲での同様症状の発生(家庭内・職場等)
  • 直近の食事内容、旅行歴、服薬状況、基礎疾患、妊娠可能性

2) 身体診察(脱水・腹部所見等の確認)

体温、脈拍数、血圧、口腔粘膜・皮膚の乾燥度、舌の状態、腹部圧痛の有無等を評価し、緊急性の高い状態がないかを判断します。

3) 必要に応じた検査実施

症状や背景により、血液生化学検査・尿検査・感染症迅速検査・画像検査(超音波・CT等)を行う場合があります(全例で必須ではありません)。激しい腹痛がある、または経過が非典型的な場合は、追加精査が必要となることもあります。

4) 治療・ケアの提供(制吐剤、整腸剤、点滴療法等)

状態に応じて、制吐薬の処方、脱水に対する補液療法、症状緩和のための生活指導等が実施されます。自己対処が困難な局面では無理をせず、早期相談により回復が容易になる場合があります。

5) 結果説明と継続フォロー

症状が軽快した後も、再燃や遷延化のリスクがあります。受診後は「自宅での水分・食事再開の進め方」と「再受診が必要となる目安」を確認し、必要時にはフォローアップにつなげます。

気持ち悪さ・嘔吐時の食事管理のメリットと注意すべきリスク

この対処法のメリット

  • 消化管への負荷を軽減し、再嘔吐のリスクを低減
  • 脱水症の予防効果が期待できる
  • 回復段階に合わせた安全な食事再開が可能

注意点:自己対処のみでは見落とすリスクが存在

気持ち悪さ・嘔吐はありふれた症状ですが、稀に緊急性の高い疾患が背景に潜んでいるケースがあります。激しい腹痛、吐血、意識障害、激烈な頭痛等がある場合は、食事調整で経過観察する段階ではない可能性があります。

「水分補給できている」つもりでも脱水が進行する場合

わずかに飲めているように見えても、嘔吐・下痢が継続すると補給が追いつかないことがあります。特に高齢者や乳幼児は脱水進行が早いため、排尿量や活気をよく観察してください。

感染が疑われる際の家庭内対策(一般的予防策)

嘔吐・下痢症状がある場合は、感染性腸炎の可能性も考慮されます。家庭内での感染拡大を防ぐため、手指衛生の徹底、タオル類の共用回避、嘔吐物処理時の適切な衛生管理など、基本的な感染対策が有効です。体調不良時は無理に調理を担当せず、可能な限り休息を優先しましょう。

よくあるご質問(FAQ)

気持ち悪さ・嘔吐がある際、食事再開のタイミングはいつが適切ですか?

嘔吐が治まり、少量の水分摂取でも気分不良が増悪しない状態になってからが目安です。最初は汁物から少量で試し、問題なければおかゆ等の消化の良い食品へ段階的に移行します。一度に通常食へ戻そうとせず、「量」と「固さ」を徐々に調整することが重要です。

嘔吐直後に水分を摂らないほうが良いのでしょうか?

嘔吐直後は胃が過敏状態にあり、すぐに大量摂取すると再嘔吐を誘発しやすくなります。まずは症状が落ち着くまで(目安30分程度)休息し、その後スプーン1杯〜一口程度の少量から再開すると負担が少ない傾向があります。

経口補水液とスポーツドリンク、どちらを選ぶべきですか?

嘔吐・下痢による脱水リスクがある場合、電解質補給の観点から経口補水液が選択肢となります。スポーツドリンクは糖分が高い製品も多く、気分不良が強い時は適さない場合があります。飲みにくい際は希釈する等の工夫を行い、基礎疾患のある方や乳幼児は医療機関へご相談ください。

気持ち悪さ・嘔吐時に避けるべき食品を教えてください。

高脂肪食、スパイス類、アルコール、カフェイン飲料、酸味の強い食品、乳製品は症状改善まで控えめが無難です。再開は、汁物→柔らかい主食→低脂肪たんぱく質の順で、少量から試すと安全性が高まります。

気持ち悪さと下痢が同時にある場合、食事・水分補給はどうすればよいですか?

下痢があると水分・電解質喪失が加速するため、頻回少量の補給が不可欠です。水分摂取困難、排尿減少、著しい倦怠感など脱水が疑われる場合は早期受診を検討してください。自己対処が困難な局面では、点滴療法等の医療介入が必要になることもあります。

気持ち悪さ・嘔吐で医療機関を受診する目安(いつ病院へ行くべき?)は?

水分摂取がほぼ不可能、飲んでも嘔吐、激しい腹痛、血性嘔吐、意識混濁、動けないほどの倦怠感等がある場合は早期相談を推奨します。高齢者・基礎疾患保有者・妊娠中の方・乳幼児は特に早期受診が安心です。

気持ち悪さ・嘔吐時、制吐薬(吐き気止め)は使用すべきですか?

原因や状態により適切な対応は変動します。市販薬で経過観察する場合でも、重度症状・脱水が疑われる場合、長期化する場合は医療機関での評価が重要です。基礎疾患のある方、妊娠中の方、小児は特に自己判断での使用に注意し、受診時に相談してください。

子どもが嘔吐しています。食事・水分の与え方のコツはありますか?

嘔吐直後は落ち着くまで休ませ、少量の水分を頻回に与えるのが基本です。一度に多く与えると再嘔吐しやすいため、スプーンで少しずつから開始します。ぐったりしている、水分摂取困難、排尿が極端に少ない場合は早期受診を検討してください。

気持ち悪さ・嘔吐がある際、仕事・外出は可能ですか?

発熱・下痢を併発している場合は感染性腸炎の可能性もあり、周囲への伝播リスクがあります。無理な外出は控え、休息と水分補給を優先しましょう。症状が改善しない、または脱水が疑われる場合は、早期に医療機関へ相談してください。

気持ち悪さ・嘔吐が数日続く、反復するのは経過観察で問題ないですか?

長期化・反復性の嘔吐は、感染以外の原因が関与している可能性もあります。激しい腹痛、体重減少、血性嘔吐、脱水兆候等がある場合は特に早期受診が安心です。「通常の胃腸炎と異なる」と感じる際も、医療機関での評価をお勧めします。

まとめ:気持ち悪さ・嘔吐時の食事は「焦らず段階的に」が成功の鍵

気持ち悪さや嘔吐がある際の食事管理は、無理な摂食よりも脱水予防を最優先に、胃腸を休めながら段階的に再開することが本質です。嘔吐直後は症状が落ち着くまで休息し、その後は頻回少量の水分補給から開始。水分が安定したら汁物から始め、柔らかい食事へ少しずつ移行していきましょう。

一方で、水分摂取困難、激しい腹痛、血性嘔吐、著しい倦怠感、症状の長期化等がある場合は、自己対処の範囲を超えている可能性があります。迷う場合は早期に医療機関へ相談してください。

当院の受診をご検討の方は、「WEB予約」または「お電話」にてご相談ください(診療時間・受付状況は院内掲示・ウェブサイトをご確認ください)。関連ページとして、「消化器内科の診療案内」「感染症対応の受診目安」「発熱外来のご案内(該当する場合)」等も併せてご参照ください。


監修:わこうし内視鏡クリニック 院長(消化器内科専門医)

執筆:わこうし内視鏡クリニック 医療スタッフ

更新日:2026年2月

医療広告に関する注記:本稿は一般的な情報提供を目的としており、症状の原因・治療方針は個人差があります。診断・治療の必要性は、医療機関での診察により判断されます。緊急性が疑われる場合は、速やかに医療機関へご相談ください。

根拠・参考情報源(一般的な医学情報)

  • 厚生労働省:感染症・衛生管理に関する公的情報
  • 国立感染症研究所:感染性腸炎等の解説・注意喚起資料
  • 日本小児科学会:小児の急性胃腸炎・脱水管理に関する情報(該当する場合)
  • 日本救急医学会等:救急受診の目安に関する一般的指針

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