【重要】ロキソニンは腹痛に適さない可能性があります
この記事の要点(30秒で理解できる概要)
- ロキソニンをはじめとするNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は胃粘膜に刺激を与えるため、腹痛に使用すると症状が悪化する場合があります
- 腹痛の性質によっては、ロキソニンで症状が改善しないばかりか、吐き気や胃部不快感が増すこともあります
- 腹痛に対してはアセトアミノフェン(カロナール)や鎮痙剤(ブスコパン)が推奨される場合が多くあります
- 下痢を伴わないが腹痛が強い、鎮痛薬服用後に腹痛が増強した場合は消化器内科への受診が必要です
- 消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)の既往がある方は特に慎重な対応が必要です
目次
なぜロキソニンが腹痛に選ばれてしまうのか
「腹部に痛みがあるからロキソニンを服用しよう」——このような判断で市販の鎮痛薬を使用した経験をお持ちの方は少なくないでしょう。
頭痛や月経痛、腰部痛などに迅速な効果を示すロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)は、多くのご家庭で常備されている鎮痛薬です。しかし、腹痛に対してロキソニンを使用すると、症状が増悪したり、胃部不快感や吐き気が強まるケースがあります。
実際、当クリニックの消化器診療でも「鎮痛薬服用後に腹痛が悪化した」「下痢はないものの腹痛があり、ロキソニンを服用したら気分が悪くなった」といった訴えで来院される患者さまが一定数いらっしゃいます。
本記事では、なぜロキソニンが腹痛に推奨されないのか、腹痛にはどのような薬剤を選択すべきか、そしてどのような場合に医療機関への受診が必要かを、消化器診療の専門的観点から詳しくご説明します。東長崎・豊島区周辺で消化器症状にお悩みの方は、ぜひご一読ください。
ロキソニンが腹痛に適さない理由
NSAIDsによる「胃粘膜への影響」
ロキソニンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される薬剤です。NSAIDsは痛みや炎症を抑制する効果がある一方で、胃や腸の粘膜を保護する物質(プロスタグランジン)の産生を抑制してしまうという作用があります。
プロスタグランジンは、胃酸から胃粘膜を保護するバリア機能を担っています。この物質が減少すると、胃粘膜が胃酸に直接曝露されやすくなり、胃部不快感、胃痛、消化不良、吐き気などの症状が出現しやすくなります。
腹痛の原因により「効果が得られない」理由
腹痛には多様な原因が存在します:
- 胃炎や消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)による痛み
- 腸管のけいれんによる痛み
- 便秘や腸内ガス貯留による膨満感
- 感染性胃腸炎
- 月経に伴う下腹部痛
このうち、胃や腸の粘膜がすでに炎症を起こしている状態でロキソニンを服用すると、粘膜保護機能がさらに低下し症状が悪化する可能性があります。また、腸管のけいれんによる痛みには鎮痛効果が十分に発揮されないため、「効果を実感できない」と感じる場合もあります。
空腹時の服用はリスクが高い
ロキソニンの添付文書には「食後に服用すること」と記載されています。これは空腹時に服用すると胃への刺激がさらに強くなるためです。しかし、急な腹痛で慌てて服用し、空腹時に使用してしまうケースも少なくありません。
医薬品安全性に関する報告によれば、NSAIDsによる消化性潰瘍の発生リスクは空腹時服用でさらに上昇することが示されています。
ロキソニンを避けるべき腹痛症状
胃部痛・心窩部痛
胃の領域や心窩部(みぞおち)に痛みがある場合、胃炎や消化性潰瘍の可能性が考えられます。この状態でロキソニンを服用すると、胃粘膜がさらに障害を受けて痛みが増強する可能性が高いため、使用を避けるべきです。
胃の疾患以外にも胆石症などの可能性もあり、胃薬のみで経過観察することも危険な場合があります。腹部超音波検査などが当日実施可能な医療機関への受診をご検討ください。
吐き気を伴う腹痛
消化不良や吐き気を伴う腹痛は、消化器系のトラブルを示唆しています。このような症状に対してロキソニンを使用すると、副作用でさらに吐き気が増強する場合があります。 痛みに対処する際には、様々な疾患を想定する必要があります。内視鏡検査や腹部超音波検査が必要なケースがありますので、消化器専門医への受診をご検討ください。
下痢を伴わない腹痛
下痢を伴わない腹痛の場合、腸管のけいれん(過敏性腸症候群など)や便秘、ガス貯留などが考えられます。これらに対してロキソニンは効果が限定的であり、むしろ消化器への負担だけが増加してしまいます。 また下痢を伴わない腹痛の場合、腸閉塞や急性虫垂炎、胆石症など、その他の鎮痛薬も効果がないばかりか症状が悪化するケースもあります。 下痢を伴わない腹痛の場合は、必ず消化器や肝臓の専門医への受診をお願いいたします。
鎮痛薬服用後に腹痛が増悪したケース
「ロキソニンを服用したら腹痛がさらに悪化した」という場合、薬剤性の消化器障害が生じている可能性があります。速やかに服用を中止し、医療機関を受診してください。 可能な限り内視鏡検査と腹部超音波検査がすぐに実施できる医療機関への受診をご検討ください。
腹痛に適した薬剤と選択基準
アセトアミノフェン(カロナール)——消化器への負担が少ない鎮痛薬
アセトアミノフェンは、NSAIDsとは異なる作用機序を持つ鎮痛薬で、胃粘膜への負担が少ない特徴があります。商品名では「カロナール」「タイレノール」などが知られています。
腹痛が軽度から中等度で、消化器への刺激を避けたい場合には、アセトアミノフェンが選択肢となります。ただし、鎮痛効果はロキソニンと比較するとやや穏やかです。
しかしアセトアミノフェン自体が腹痛の第一選択薬とは限りません。状況に応じた選択が必要ですので、消化器専門医への受診をご検討ください。
鎮痙剤(ブスコパンなど)——腸管のけいれんを緩和
腹部のけいれんによる痛みには、鎮痙剤が有効な場合があります。代表的なものに「抗コリン剤:ブスコパンなど」があります。これは腸管の過剰な収縮を抑制し、痛みを緩和する作用があります。
過敏性腸症候群や機能性消化管障害による腹痛には、鎮痙剤が適している場合が多くあります。
抗コリン剤は効果が期待できる反面、使用できない方(緑内障や心疾患など)がいらっしゃるなど、副作用への配慮が必要です。
また抗コリン剤の効果が得られない場合もありますので、安易な連続使用は避けるべきです。
漢方薬——体質に応じた選択
腹痛の原因や体質によっては、漢方薬が有効なケースもあります:
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):急性の腹痛やけいれん性の痛みに
- 大建中湯(だいけんちゅうとう):冷えに伴う腹痛やガス貯留に
- 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう):腹部膨満感や過敏性腸症候群に
漢方薬は即効性は劣りますが、体質改善を含めた根本的なアプローチが期待できる場合があります。
漢方薬の使用には経験が必要です。また副作用がないわけではないため、漢方処方に慣れた医療機関での処方が望ましいです。
胃薬との併用——粘膜保護剤・制酸剤・消化管運動改善薬
やむを得ずロキソニンを使用する必要がある場合(他部位の痛みが強い場合など)は、胃粘膜保護薬(ムコスタ、レバミピドなど)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用することで、胃への負担を軽減できる場合があります。
ただし、これはあくまで対症的な対応であり、腹痛の根本的な原因を治療するものではありません。
ロキソニンSプレミアムとロキソニンSクイックの違い
市販のロキソニンには複数のバリエーションがあります:
- ロキソニンSプレミアム:胃を保護する成分(酸化マグネシウムなど)が配合されており、胃への負担を軽減する設計
- ロキソニンSクイック:効果発現を早めた製剤
それでも、腹痛に対してはロキソニンSプレミアムであっても推奨されません。胃を保護する成分が含まれていても、根本的に腹痛の原因に対処できないためです。
医療機関への相談が必要な腹痛
早急に医療機関を受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、速やかに内科・消化器内科・肝臓内科を受診してください:
- 激しい腹痛が持続する、または急激に強くなった
- 吐血、下血(黒色のタール状便)、血便がある
- 高熱(38度以上)を伴う腹痛
- 立位を保てないほどの痛み
- 腹部が板状に硬くなっている
- 意識状態が不明瞭になる
これらは消化管出血、穿孔(消化管に孔が開く状態)、急性腹症などの重篤な状態を示唆する可能性があります。 当日での超音波検査や内視鏡検査などが実施できることが望ましいです。
数日以内の受診を検討すべき症状
- 鎮痛薬服用後に腹痛が増悪した
- 下痢を伴わないが腹痛が数日持続する
- 消化不良、吐き気が持続する
- 食欲不振、体重減少がある
- ストレスにより腹痛が悪化する
これらは胃炎、消化性潰瘍、過敏性腸症候群などの可能性があり、早期の診断と治療が望ましいです。
当クリニックでの診療の流れ
当クリニックでは、専門医による丁寧な問診と診察を行い、必要に応じて以下の検査を実施します:
- 初診・問診:症状の詳細、服用中の薬剤、既往歴などを確認
- 身体診察:腹部の触診、聴診など
- 血液検査:炎症反応、貧血、肝機能などを評価
- 腹部超音波検査:胆石、肝臓、膵臓、腎臓などの異常を確認。当日実施可能
- 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ):必要に応じて実施。鎮静下で苦痛の少ない検査が可能
- 結果説明と治療方針の決定:当日または後日、詳しくご説明
当クリニックは駅近で土曜日曜も対応しており、お仕事や家事でお忙しい方でも受診しやすい環境を整えています。消化器以外の疾患もトータルに診療できる体制がありますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
ロキソニンを安全に使用するための知識
ロキソニンが適している痛み
ロキソニンは以下のような痛みには有効性が認められています:
- 頭痛
- 月経痛(下腹部痛)
- 腰痛、肩こり
- 歯痛
- 関節痛、筋肉痛
これらは炎症や組織損傷による痛みであり、NSAIDsの作用機序に合致します。
服用時の注意事項
- 必ず食後に服用(空腹時は避ける)
- 用法・用量を遵守(過剰服用は副作用リスクを高める)
- 長期連用を避ける(数日使用しても改善しない場合は医師に相談)
- アルコールとの同時摂取を避ける(胃への負担が増大)
- 他の薬剤との併用に注意(抗凝固薬、ステロイドなどとの併用は医師・薬剤師に相談)
ロキソニンの使用に注意が必要な方
以下に該当する方は、ロキソニンの使用が禁忌または慎重投与となります:
- 消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)の既往または治療中の方
- 重篤な肝障害、腎障害、心機能不全のある方
- アスピリン喘息(NSAIDsアレルギー)の方
- 妊娠後期の方
- 高齢者(65歳以上)は副作用が出現しやすい傾向があるため慎重に
該当する方は、必ず医師や薬剤師に相談してから服用してください。
患者さまからよくいただく質問
ロキソニンは腹痛に効果がありますか?
ロキソニンは腹痛には推奨されません。胃粘膜を保護するプロスタグランジンの産生を抑制するため、胃痛や消化不良を引き起こし、むしろ腹痛が悪化する可能性があります。腹痛にはアセトアミノフェン(カロナール)や鎮痙剤(ブスコパン)が適している場合が多くあります。
ロキソニンを服用したら腹痛が悪化しました。なぜですか?
ロキソニンなどのNSAIDsは胃粘膜に刺激を与える作用があります。特に空腹時や胃炎・消化性潰瘍がある状態で服用すると、胃が障害を受けて症状が悪化し、腹痛、吐き気が増強することがあります。すぐに服用を中止し、消化器内科を受診してください。
下痢を伴わない腹痛がありますが、ロキソニンは服用してよいですか?
下痢を伴わない腹痛は、腸管のけいれんや便秘、ガス貯留、機能性ディスペプシアなどが考えられます。このような腹痛に対してロキソニンは効果が限定的であり、消化器への負担だけが増加するため推奨されません。鎮痙剤や漢方薬のほうが適している場合が多くあります。
ロキソニンSプレミアムなら腹痛に使用しても問題ありませんか?
ロキソニンSプレミアムには胃を保護する成分が配合されていますが、それでも腹痛には推奨されません。胃粘膜保護成分が含まれていても、腹痛の根本的な原因に対処できないため、症状が改善しない、または悪化する可能性があります。
腹痛に効果的な市販薬はありますか?
腹痛の原因によって適切な薬剤が異なります。胃痛にはアセトアミノフェン(タイレノールA)、腸のけいれんにはブスコパン、消化不良には胃腸薬(ガスター10など)が選択肢となります。ただし、症状が持続する場合や悪化する場合は医療機関を受診してください。
月経痛でロキソニンを服用していますが、同時に胃痛も出現します。どうすればよいですか?
月経痛にはロキソニンが有効ですが、胃痛が出現する場合は胃粘膜保護薬(ムコスタ、レバミピドなど)を併用することで軽減できる場合があります。それでも改善しない場合は、アセトアミノフェンへの変更や、婦人科・消化器内科へのご相談をお勧めします。
ロキソニンを食後に服用すれば腹痛は起こりませんか?
食後に服用することで胃への刺激は軽減されますが、腹痛そのものに対しては効果が限定的であり、胃粘膜への影響は完全には防げません。腹痛がある状態では、食後であってもロキソニンの使用は避けるべきです。
ロキソニンとカロナール、腹痛にはどちらが安全ですか?
腹痛に対してはカロナール(アセトアミノフェン)のほうが安全性が高いです。カロナールは胃粘膜への負担が少なく、軽度から中等度の痛みに適しています。ただし、鎮痛効果はロキソニンより穏やかです。
消化性潰瘍の既往がありますが、ロキソニンは使用できませんか?
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往がある方は、ロキソニンの使用は原則として避けるべきです。やむを得ず必要な場合は、医師の指導のもとでプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃粘膜保護薬を併用しながら、慎重に使用する必要があります。
ロキソニンが効かない腹痛はどのような原因が考えられますか?
ロキソニンが効かない腹痛は、腸管のけいれん、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、便秘、ガス貯留、心理的ストレスによる腹痛などが考えられます。これらにはNSAIDsが効果を発揮しにくいため、別の治療アプローチが必要です。
腹痛で受診するタイミングはいつですか?
以下の場合は速やかに受診してください:激しい痛みが持続する、吐血や下血がある、高熱を伴う、立位を保てないほどの痛み、鎮痛薬で悪化した。また、数日続く腹痛、消化不良や吐き気が持続する、食欲不振や体重減少がある場合も、早めの受診をお勧めします。
ロキソニンの副作用で胃が障害を受けた場合、どれくらいで改善しますか?
軽度の胃粘膜障害であれば、服用を中止して数日から1週間程度で改善することが多いです。ただし、消化性潰瘍や出血を伴う場合は治療が必要となり、数週間以上かかることもあります。症状が持続する場合は必ず医療機関を受診してください。
本記事のまとめ
ロキソニン(ロキソプロフェン)は頭痛や月経痛、腰痛などには優れた鎮痛効果を発揮しますが、腹痛に対しては推奨されません。むしろ胃粘膜に刺激を与える作用により、胃痛、消化不良、吐き気などが増悪し、腹痛が悪化する可能性があります。
腹痛にはアセトアミノフェン(カロナール)や鎮痙剤(ブスコパン)、漢方薬など、原因に応じた適切な薬剤を選択することが大切です。また、「鎮痛薬服用後に腹痛が増悪した」「下痢を伴わないが腹痛が持続する」といった症状がある場合は、自己判断で市販薬を継続せず、早めに消化器内科を受診してください。
当クリニックでは、専門医による丁寧な診察と、必要に応じた内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を鎮静下で苦痛なく受けることができます。土曜日曜も対応しており、駅近でアクセスも良好です。消化器症状や腹痛でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
※医療広告ガイドラインに関する注記
本記事の内容は一般的な医学情報のご提供を目的としており、個別の診断や治療を保証するものではありません。症状や治療方針は患者さまごとに異なりますので、具体的な診断と治療については医療機関を受診し、医師の診察をお受けください。
監修:当クリニック医師(消化器内科専門医)
更新日:2026年2月時点
参考文献・情報源
- 厚生労働省「医療広告ガイドライン」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品情報」
- 日本消化器病学会「消化器疾患診療ガイドライン」
- 第一三共ヘルスケア「ロキソニンS 製品情報・添付文書」
- 医薬品安全性に関する学術報告












